アメリカで食う見る遊ぶ
この後骨だけになった哀れな七面鳥

サンクスギビング 楽しみな人辛い人

「サンクスギビングは、どう過ごすの?」
秋以降、挨拶代わりにみんなが聞くようになった。 ウキウキして、とっても楽しみにしているみたいだ。

「サンクスギビングってなあに?」
クリスマスもバレンタインデーも日本にあったから想像はつく。 でも、サンクスギビングって今ひとつよくわからない。
「私キリスト教徒じゃないから、知らない。教えてー」

「サンクスギビングは、キリスト教の行事ではないんだ」
「11月の最後の木曜日のことさ」
「ファミリーが集まって七面鳥を食べるの」
「私はカリブにクルーズに行くんだー」

ますます謎は深まったが、とにかく11月の最後の週は連休になるらしい。 基本的には家族で集まって七面鳥のローストを特別なソースで食べるんだけど (これがアメリカ人のおふくろの味なんだそうだ)、 暖かいカリブ海とかに旅行に出かけちゃう人も多くて、 この時期が旅行のピークシーズンなんだとか。

ロックフェラーセンターのスケートリンクもオープン!

「七面鳥、どこに行ったら食べられるの?」と私が聞くと、
「七面鳥なんてそんなおいしいもんじゃないよ。家庭料理だし、出す店も少ないんじゃない?」 と日本人友だちのYちゃんが言う。

サンクスギビングは感謝祭とも訳す。アメリカに渡った清教徒が、インディアンから食べ物を分けてもらって冬を乗り越えたことを、感謝する日なんだそうだ。その時の食べ物が七面鳥やソースに使うクランベリー、付合わせのコーンなど。
「だから、サンクスギビングの食卓って、あえて質素なものにすべきなんだ」と、知ったかぶりの日本人駐在員Iさんが教えてくれた。感謝するの? インディアンと白人って殺し合ったんじゃなかったっけ?そんな疑問も沸いたけど、七面鳥は食べてみたい。

サンクスギビングのディナーには、Iさん一家に招かれた。メインはもちろん、奥様がテレビの料理番組で焼き方を覚えて、6時間かけて焼き上げたという七面鳥だ。丸焼きの七面鳥は、皮がパリパリでソースとよく合って、とてもおいしかった。普通はローストは昼に食べ、夜はターキーサンド。残ったガラはスープにしたりと、この時期アメリカ人家庭では七面鳥を食べ続けるらしい。全米で消費される七面鳥は数百万羽だとか。
街にはイルミネーションがあふれるようになった

サンクスギビングの時はお店は殆ど閉店し、街から人がいなくなった。
「だからこの時期、ひとりものにはけっこう辛いんだよね。クリスマス、ニューイヤーイブとまだまだ続くんだ…」ポツリとそんな風に言う人もいた。

「How was Thanks Giving?」休暇の後は、それが挨拶言葉になる。 目を輝かして楽しそうに話し出す人もいれば、「Good!」とひと言で済ます人もいる。年末の予定を聞かれて辛い人がいるのは、日本もアメリカも同じ、かな。
私は、今年は傍観者を決め込むことにした。日本に居た時は、予定がいっぱいだっていうフリをするのが大変だったんだけどね。

written by 篠田なぎさ(⇒ プロフィール



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