ポルトガルへイワシを食べに |
3.リスボンのレストランあれこれ やみつきになった白ポルト、タラのフライとよく合うのだ! 1)カサ・ダ・コミダ 到着した夜に、ミシュランの赤字印字レストラン、カサ・ダ・コミダに行った。ミシュランはポルトガル料理があまり好きじゃないらしく、リスボンで星が付いているレストランは無い。たった二つしかない赤字印字のレストランのうちひとつは、ホテルのコンシェルジュに聞いたら「休業中」ということだった。だからといってリスボンにおいしいレストランが無いという訳じゃあ全然なかったんだけどね。 カサ・ダ・コミダに入るとまずクラシックな家具が並んでいるロビーに通されて、食前酒と突き出しを食べながらメニューを決める。忙しく客をあしらうマダムが時々やって来て説明してくれ、少しずつメニューが決まっていく。食事の準備が全部整うまで席に通してくれない。この長〜い待ち時間が実にヨーロッパ的だなあと思った。 最初食前酒何にする?と聞かれて、迷う私にポルトワインはいかが?と勧めてくれた。 赤のポルトワインしか知らない私が「ポルト? 食後に飲むんじゃないの?」と聞くと、食前酒として白のポルトがあるのだと言う。試しに頼んだ白のポルトは、味が濃くてきりりとしていて、美味しいのに感動。それから私は昼も夜も、必ず食事の前に白のポルトを頼むようになった。 このカサ・ダ・コミダで食べたのは ・食前酒と一緒に出たタラのすり身のフライと松の実ナッツ ・アミューズにアボガドの野菜のモザイクソース(玉ねぎ、パクチー(?)バルサミコソース) ・カニと白身のすり身タルタルソース ・シュリンプのタリアタッレ ・プロウンのマデラソースライス添え ・シーバスと白アスパラガスのクリームソース ・デザート、ポルトガルデザート盛り合わせ 左からすり身のタルタル、プロウンのマデラソース、シーバスと白アスパラガス お腹が空いてたので食前酒と一緒に松の実をガツガツ食べちゃったのと、クリーム系のお皿が重なっちゃったのが失敗だったかな。でも恐れていた塩味は余りきつくなく、特にタリアタッレはシンプルすぎるくらいで、ぷりぷりのシュリンプを良く味わえた。 コミダの中庭には大きな木が生えていて、その周りにテーブルが出ていて、先着順に外で食べるか室内で食べるか決めることができる。天気のいい昼に来た方が、気持ちがよかったかもしれない。 カサ・ダ・コミダの中庭のテーブル 2)ガンブリヌス 二日目の夜は、ホテルのコンシェルジュのお兄さんも「すごくいい店だよ」と太鼓判を押してくれたガンブリヌスだった。英語でしゃべるお客さんが多いようだったけど、コミダよりずっと混んでいた。 お勧めだというワインが22ユーロとあんまり高くないのに安心し、運ばれてきたのを見てびっくり。指で字がかけそうなくらいホコリで汚れているのだ。どう見ても年代物のアンティークだ。「これ、本当に22ユーロなんですか? ヴィンテージみたいに見えるけど」と慌てて聞く私に、ソムリエのお兄さんが「大丈夫」と笑っていた。どうもポルトガルではワインの瓶を拭く習慣が無いみたいで、と言うより、ワインの瓶を拭いちゃいけないみたいで、酒屋さんに陳列してあるワインの瓶も埃まみれで、しかも「埃を払わないで」と張り紙までしてあるのだった。 このガンブリヌスで食べたのは、 ・アサリのワイン蒸し ・ガスパチョ ・タイのグリル ・豚のマリネ、栗とジャガイモ添え ・エキゾチックフルーツ盛り合わせ 左からガスパチョ、タイのグリル、豚のマリネ栗とジャガイモ添え アサリのワイン蒸しはオリーブオイルとバターと両方使っているみたいで、けっこうこってりしていた。「スペイン料理でしょ?」と聞いたら、「ポルトガルのオリジナルです」と怒られちゃったガスパチョは、玉ねぎがすごくきいていてワイルドだけど、野菜のエキスたっぷり。サカナもいいけど豚もポルトガルではおいしいんですよと勧められたポークはホカホカのホクホクで、付け合せの栗がカリカリに揚がっていてとてもよく合った。 リキュールの瓶をくるくる回してかけると、ブワッと炎が上がる このお店はオレンジのクレープが名物みたいで、注文があるたびにクレープセットを押してウエイターさんが現れ、瓶をくるくる回したり、派手に炎を上げたりしながら作ってくれる。みんな大喜びでそれを見て、ウエイターさんは得意気で、明るい楽しい雰囲気で食事が出来た。 3)観光レストラン 昼は観光地めぐりをしたその足で、適当にその辺の店に入ったりもした。メニューはドイツ語、英語、スペイン語、フランス語と各種あって、ジプシーの楽団や物売りが入れ替わりそばにやって来たりして、いかにも観光レストラン。こんな所はたいてい高くてまずーいイメージがあるけれど、ぜんぜんそんな事が無いのが嬉しかった。特に名物!と銘打っているイワシのグリルやタコのリゾットなどの魚介類が、新鮮であっさりとおいしくって、本当に日本人好みの味なのだ。 歩き疲れてどっかりと座り込み、突き出しのオリーブをつまんでいるとワインも弾む。通りを行く人たちを眺めて国籍当てごっこをしながらあれこれ食べていると、あっという間に夕方になってしまうのだった。 食べてるすぐ横を観光客がゾロゾロ通る。リゾットは鍋ごとどっかんと出てくる。 4)ファドクラブ コンシェルジュのお兄さんご推薦のファドクラブにも行った。まずい食事付きツアーの評判はすごく悪いけど、夕食後に行けばチャージも安くて済んだし、お酒も各種置いてあって楽しめた。お客はやっぱり外国人が多くって、みんな今いち歌詞が分かっていなさそうだったのが残念なんだけどね。その後知り合ったポルトガル人のおじさんは「ファドを聞くと泣いちゃうんだよ〜」と言っていたけど、その店で泣いている人はいなかったな。 色々なシンガーが次々に登場して、ファドクラブの夜はエンドレス |