アメリカ三面記事便り
Utah's National Parks

アメリカの山にいたすごい男たち

1)地元の援助でサバイバル5年
FBIが百万ドルの懸賞金をつけ「最重要指名手配犯10人」のリストに載せていたエリック・ルドルフ(36)が逮捕された。
96年から98年にかけて、アトランタ五輪公園や、中絶を行っていた産婦人科病院、 ゲイクラブなどで起きた4件の爆破事件の容疑者だ。 ルドルフが、ノースカロライナの山あいに潜んでいる事は知られていた。しかし、今までFBIが飛行機やヘリコプター、軍事用の温熱探知機、警察犬などを使って大規模な山狩りを行っても、いつもルドルフの姿はなく、直前までそこにいたらしい生活の痕跡しか見つけることが出来なかった。

白人至上主義者で反ユダヤ、反ゲイのルドルフが、逃亡生活を続けられたのは、そんな彼に共感する地元の人たちが、町ぐるみで密かに彼を援助していたからだと言われている。住民達はFBIを避け、「逃げろ、ルドルフ。逃げろ」「隠れんぼチャンピオンルドルフ」などと書いたステッカーを車の後ろに貼っていたという。住民の中には、 「彼はわれわれと同じクリスチャンであり、中絶廃絶に人生を捧げたのだ。私は、彼がした事はテロだとは思わない」とインタビューに答える人もいる。堂々とテロを認め、差別を認める町がアメリカにはあるという事実に、驚くばかりだ。

今年5月末、ルドルフは彼のことを知らなかった新人警察官に、抵抗もせずに逮捕された。地元の留置場では「今まで森に居たんだから」と広い部屋に入り、「空腹だったろう」と食事が余計に与えられるなど、特別待遇だったという。


2)5日後に自ら腕を切断
4月末にユタ国立公園で一人で登山をしていたアーロン・ラルストン(27)は、右腕を400キロの岩にはさまれ身動きできなくなった。5日目にこのままでは死ぬと決意し、彼は自分で自分の腕の骨を折り、ナイフで切り離して止血し、18メートルの崖を降り、約10キロの道のりを歩いて救助された。

このニュースを始めて見た時には、余りの内容に気分が悪くなったが、アメリカのメディアではその辺の「配慮」は無いようだ。
食事時でも子供が見ている時間でも、彼はいつでもその全身を画面にさらし、さわやかにインタビューに答える。好青年そのものの笑顔と、その勇気を称えるキャスターとのやり取りを見ていると、気持ち悪いなんて思ってしまうのは偏見だと言われているようだ。
彼は学校などでも講演をし、この件で得た2つの教訓を説いているという。
「どこかに出かける時には、必ず誰かに言っておくこと。
ナイフを持つのなら、よく切れるのにすること」

参考)
モーニングショーに登場したアーロン・ラルストンの記事(ABCニュース)

written by 篠田なぎさ(⇒ プロフィール



次へ
Top



All Rights Reserved, c 2003, Shinoda Nagisa