2010年3月14日 持田直武
オバマ大統領が変化を掲げて就任して1年余。この間、米国各地にティーパーティ運動という草の根運動が広がった。参加者の主張の共通項は、反税金。中でも、オバマ政権の巨額な赤字予算が批判の標的だ。この勢いが続けば、オバマ大統領は今年11月の中間選挙で苦しい立場に立つのは間違いない。 ・米議会に反税金のシンボル、ティーバッグを郵送
米国は4月15日が税金の確定申告締切日で、この日を税金の日と言う。だが、去年の4月15日は確定申告に加え、もう1つの出来事で記憶される日となった。反税金を掲げるティーパーティ運動が全米750箇所で集会を開き、50万人が参加したのだ。ティー(紅茶)は米独立戦争の遠因となったボストン茶会事件以来(注)、反税金のシンボルだ。これまでにも、税金の日に紅茶やティーバッグを掲げて反税金を訴える集会はあったが、去年のような全米規模の集会は初めてだった。 (注)ボストン茶会事件 1773年12月16日、ボストン港でインディアンに仮装した植民地人グループが英国船に侵入、積荷のインド産紅茶を海に投げ捨てた事件。投げ捨てる時、「これは英国王ジョージ3世のティーパーティだ」と叫んだので、茶会事件と言うとの説がある。当時、英国議会は英仏戦争の戦費などを調達するため大陸植民地が輸入する紅茶や紙など日用品にまで課税。植民地人は英国議会に代表を送る権利を認められていないにも拘わらず、税金をかけるのは不当として「代表なくして課税なし」を合言葉に抗議。抗争は激化して独立戦争に発展した。 ・全米の草の根に広まる
このニュース・ショーが放送された前日の09年2月10日、フロリダ州フォートマイヤーズでティーパーティ運動の野外集会が開かれた。会場のタウンホール前に集まったのは10人、あるいはわずか6人だったとも言われるが、ティーパーティ運動としては全米で初めての野外集会だった。会を主催したのは地元の草の根活動家メアリー・ラコビッチという女性。彼女は地元記者のインタビューに答え「開催前フリードムワークスという組織の指導を受けた」と明かした。 ・オバマ大統領の足元を揺るがす
オバマ大統領は08年選挙で無党派層を動員して当選した。中心になったのはこれまで投票したこともない都会の若者たちだった。ティーパーティ運動はこれとはまったく違う層が支えている。今年2月のCNNの調査によれば、同運動に献金し、集会に参加している積極的支持者は11%。内訳は男性が60%、半分は地方に住み4人のうち3人は大学卒。そして87%が11月の中間選挙で、第3の政党がなければ共和党に投票すると答え、共和党にも一定の距離を置いている。 掲載、引用の場合はこちらからご連絡下さい。 持田直武 国際ニュース分析・メインページへ |
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