ニューヨーク暮らしことはじめ |
はじめてのドライブ 高速を快調に飛ばして北を目指す。細い半島の真ん中を通る道路なんだけど、道の両側に木が茂っていて、見晴らしは余りよくない。 やがて、ハンプトンという古い避暑地に着いた。適当にくねくね走ってコロニアル様式のお屋敷を見て回る。よく手入れされた広い庭のある、暖炉の煙突付きの大きな家がたくさん。マンハッタンのこちゃこちゃしたアパート群とは大違いだ。 メインストリートにはアンティークや有名ブランドのブティックが並び、街はとてもきれい。通りの中心に大きな風車があって、開拓時代を偲ばせる。 「インディアンはこの辺の土地を、白人にタダ同然で取られちゃったんでしょ?」 「お酒を飲まされて、イエスと言わされたらしいよ」 私たちも気をつけなくっちゃね。 通りを歩いている人にイタリアンレストランを教えてもらった。ゆっくりゆっくり出てくるシーフード料理を食べていたら、もう夕方になってしまった。風が吹きすさぶ海岸をちょっとだけ散歩して、あまりの寒さに車に逃げ込む。 「車から出られないね」 「マンハッタンに帰って、なんか温かいもの食べようよ」 「それがいいね、さあ、帰ろっか…」 冬の日暮れは早くて、4時過ぎには暗くなる。そんな中、帰り道の標識を見つけられるかどうか、だいぶ不安な私たちである。アメリカの道路標識はけっこう不親切。分岐点や行き先を示す表示が突然現れるので、英語を読んで理解して車線を変更するのは、時には命がけのことだってあるのだ。おまけに雨までザーザー振り出して、前がよく見えない…。 対向車のライトに目がくらみ、ハンドルを握りしめるドライバー。車内灯の暗い明かりで、必死で地図を読むナビゲーター。それを後ろからハラハラしながら見守る私…。いやはや、スリリングなドライブでありました。 雨も止み、川の向こうにエンパイアステートビルの灯かりが見えた時には、本当にほっとした。まだ4ヶ月しか住んでいないけれど、懐かしいマンハッタン。地下鉄とバスでどこにでも行ける便利な街…。 川底トンネルをくぐってマンハッタンに入ったとたん、狭まる道路、あふれる人、両側からのしかかるようなビル群に歓声を上げる私たちだった。 「きゃー、マンハッタンってごちゃごちゃしてるねえ」 安心しちゃったのか、Kさんは交差点で左折して、反対側の車線に入ってしまった。真正面に対向車が見えた時には、ビックリ仰天。すぐにハンドルを切って事なきを得たけれど、その時ワイパーがぶんぶん動いていた。Kさん、よっぽど慌てたらしい。 車を返したあとで行った日本食居酒屋で飲んだチューハイはおいしかった。ドライブ中はドライバーに遠慮してお酒が飲めないのがやっぱり辛い。 「また行こうね」と笑顔で言いながらも、「今度は電車で行こう」と思った私だった。前を通り過ぎるだけだったけど、道中ワイナリーの看板がいっぱいあったんだもん。次は泊りがけの、ワイナリー巡りを計画しよう。ふふふ。 |