ニューヨーク暮らしことはじめ |
英語上手になった?って聞かないで 「私は腸が長いから」と言おうとして、「XXが長いから」と言っちゃったり(bowelsとballsを間違えた)、「クロワッサン」がどうしても聞き取ってもらえなくて、仕方なくフランスパンを買ったり。トホホなことはいっぱい起こる。人知れず赤面しながら、先月の自分よりはなんぼかまし。と自分を奮い立たせて、当たって砕けろの毎日だ。 恋愛や人生について哲学的に語ったり、日本の政治的立場を説明したり…。そんな話をするには、すごく集中力が必要だ。慌てると文法はむちゃくちゃになっちゃうし、思ったことが表現できなくて、いつも歯がゆい思いする。時制は狂っていないか、この単語は単数なのか複数なのか、theはどの言葉につけるのか。気にしたらきりが無い。 いつも、「どっこいしょ」と高い壇に上がる時のように気合を入れないと、英語が口から出てこない。こういう状態は、いつか卒業できるんだろうか? 「図々しく、どんどん話しかければいいのよ」と、皆さんおっしゃる。 そうは言うけどね。やっぱりその人、その時にふさわしい話題ってあるじゃん。とんちんかんな事言っても、会話は続かないし。 ちなみに日本人はよく、「日本ってこうなんだよー」と比較文化論的な話をしたがるけれど、殆どのアメリカ人は、そんな事には全く興味を持たないのでお気をつけあれ。 アメリカ人と結婚してアメリカに暮らして何年にもなるSちゃんでさえも、「パーティーできちんと話すために、英語を習ったら?」なんてダンナさんに言われるという。「君がスケジュールと言う時の発音は、どうもおかしい」とも。 Sちゃんですらそうなのかと、私は少し吹っ切れた。英語を使って何年暮らしても、日本語という母国語を持っている限り、「この英語で完璧」と満足できることは無いんだろうな。だいたい、失礼が無いようにしゃべったり、人生について語るなんて、日本語でだって難しいんだもの。 だからお願い。買い物している私を見て「英語上手になったじゃない」とは言わないで。英語上手って何だろう…。と私は迷宮にはまってしまうから。 |