アメリカ三面記事便り
街角で見かけた花嫁さん。お幸せに。

花嫁候補達のサバイバルショー

「見てる」と言うと、「ええー!?」と笑われてしまうのが、「ザ・バチェラー」という「アメリカ版玉の輿大作戦」といった趣のバラエティ番組だ。
全米から選ばれた20代30代の美女たちが、銀行一族の御曹司、28歳独身アーロン君の花嫁の座を競う。私と結婚したらこんな家庭が作れるわ。だから私を選んでネ。と手を変え品を変えアーロン君に体当たりプレゼンテーション。セクシードレスを着て耳元で囁いたり、ジャグジーでうっとりしなだれかかったり。みんな真剣で必死で、怖いくらいだ。

この「ザ・バチェラー」アーロン君、アゴはちょっと長いがテレビ映えするグッドルッキング。スポーツマンで高校時代は水泳の州代表選手で、パイロットの免許も持っている。イタリアでMBAを取って、一族の銀行の副社長をしながら、レストランビジネスにも乗り出したという。まるで絵に描いたような御曹司だ。

25人→15人→10人→6人→4人→3人→2人と毎週絞り込まれていく花嫁候補達。ずらりと並んで、アーロン君から赤いバラを手渡されるのを待つ。そんな緊張の瞬間でも、誰も決して下を向いたりはしない。顔は笑っていても、目は据わっている。選ばれなかったとわかると「何で私じゃないの?」と詰め寄って、アーロン君を困らせる。その強さは小気味いいほどだ。決断前のアーロン君に「私が心配しているのは、あなたが私を選ばないという間違いをすることよ」なんて脅しをかけたりもする。

見ている私はアーロン君に成り代わって、花嫁候補達をああだこうだと吟味する。インターネットのサイトでは、誰が選ばれるのかのオッズまでついている。当然ながら噂レベルの情報も噴出。「花嫁候補xxには結婚歴がある」「アーロン家の銀行は若い女性の口座開設が増えた」など、ゴシップ新聞の記事にもなったりする。

「面白い? あんな番組」と言いながら、みんなけっこう内容を知っている。 こういった勝ち残りに挑戦する番組は「リアリティ・ショー」と呼ばれ、クイズ番組「ミリオネア」や、サバイバル番組「サバイバー」が大ヒットして以来、次々に制作されているんだそうだ。今年はモーニング娘。のオーディションのようだった「アメリカン・アイドル」が大ヒット。優勝者が決定した時には、放映局以外のテレビや一般紙にも大きくその記事が出たくらいだ。

選ばれた「アメリカン・アイドル」のその後はあまり聞かないけれど、「アメリカン・アイドル2」のオーディションには応募が殺到しているとニュースになった。インタビューに出てきたのは列に並んでいた89歳のお爺さん。その場で歌って踊って見せていた。アメリカ人は何にでもチャレンジするのがお好き、らしい。

私が期待しているのは、番組の外で起こるドラマチックな展開だ。数年前に放映されたこの「ザ・バチェラー」のネタ元番組では、放映後にバチェラーに犯罪歴があったことが判明。選ばれた花嫁は即座に離婚し、インタビューに引っ張りだこになり、ヌードにまでなったという。花嫁候補のヌードが見たいわけではないけれど、話題が盛り上がったときに「知ってる知ってる」と言いたいのは性分だ。新バチェラー・アーロン君の、完璧すぎちゃって面白みが無いのに飽き飽きしながらも、「何が出てくるかわからない」と目を凝らして見てしまうのだ。

参考)
ザ・バチェラー(ABC)
アメリカン・アイドル(FOX)

written by 篠田なぎさ(⇒ プロフィール



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