アメリカ三面記事便り

これを読めばニューヨーク通…!?

アメリカといえば、フリーペーパー。
ニューヨークで一番メジャーなのが「ビレッジボイス」。そして、競合誌の「ニューヨークプレス」。映画や劇場の興行のスケジュールから、レストラン情報、不動産情報、交際相手募集まで、最新の情報がそこにあふれているという。
売りものは何人かがそれぞれのテーマで書いている連載コラムで、メジャーではない立場からの発言は時にシニカルで面白く、ここから巣立って大物ライターになった人も多いという…。

一応、これくらいの知識は持っていたので、到着後最初に買出しに行った時に、交差点でキョロキョロしてフリーペーパーを探してみた。フリーペーパーはスーパーの入り口に山積みになっていたり、道端の専用のボックスに入っていたりする。
「あった、あった」
さっそくボックスから「ビレッジボイス」と「ニューヨークプレス」を取り出して、持って帰って来たのでした。

街のいたるところにこんなBOXが林立
フリー(無料)ペーパーといっても100ページを越えるぶ厚さで、ずっしりと重い。スーパーで買い出した食品以上にかさ張ってしまう。
こんなに大量の紙を無料で配布しちゃうなんて、もったいないと思わないんだろうか…? けちんぼの私の第一印象だ。

手に取ってしまったからには、全部読んでやろう! 英語の勉強にもなるし、コラムからここに書くネタがきっと拾えるだろう。
そう決意はしてみたものの、小さな字でぎっちり書かれているコラムを読むのは、私にとってはけっこう大変だ。言い回しが凝っていたりすると引っかかっちゃって、理解するのに長い時間がかかる。
掘り出し物件が出るらしいと期待していた不動産情報も、記号のような言葉が並んでいるのみで、写真も地図も間取り図もついていない。番地からすぐ場所が思い浮ぶほど街に慣れていなので、ひとつひとつ物件を読み込んでいくのはすごく大変だ。

結局、面白がって読んだのは、後半に付いている交際相手募集の記事だった。
「Men seeking women」…なんてわかりやすい英語なんだろう。
「Women seeking women」…まあ、アメリカだからね。
「Multiples」「Anything goes」……どういうこと!?
ROMANTICとかHANDSOMEとか、所々太字になっている。
ASIANなんて文字を見ると、自分が呼ばれているみたいでドキッとしてしまう。
桐島洋子さんが書いた「淋しいアメリカ人」で、中国系の小柄な女性として、交際相手募集の記事を載せる話を読んだなあ〜。なんて、懐かしく思い出した。実際この欄で知り合って結婚する人もいるという。

いけない、いけない。辛口コラムを読むのだった。と思った時には1週間が過ぎていた。もう次の号が出ているはずだ。この大量のコラムを毎週読みこなすなんてことは、とてもできそうにない。

「最新情報に、ぜんぜん追いつけないよー」
とアメリカ滞在が長い知人に言うと
「フリーペーパーは、アーチスト系の人が読むものなんじゃないの? 地元で生活するなら、ニューヨークタイムスが一番だよ」
とアドバイスされた。ニューヨークタイムスなら家まで配達してくれるし、日本の一般紙に較べて購読料もずっと安いという。
そっか。ニューヨークタイムスか。アパートが決まったらさっそく配達してもらうことにしよう。
というわけで、アパートが決まるまで、新聞コラムを読むのはお休みです。(ほっ)  こんな調子ですが、引き続き三面記事ウオッチングを続けます。 (...続く)

written by 篠田なぎさ(⇒ プロフィール



次へ
Top



All Rights Reserved, c 2002, Shinoda Nagisa