アメリカ三面記事便り
英語で阪神タイガースを応援できまっか?

NYタイムスが分析する「日本人が夢中なもの」

日本とやり取りしているアメリカ人は、日本人がニューヨークの天気にすごく詳しい事に驚く。
「4月に雪が降ったんだってね」「先週はすごい雷雨だったって?」
日本人がヤンキースの試合のニュースを通じて、ニューヨークの天気を知るのだとわかると、「日本人はみんなヤンキースファンなのか?」とさらに驚く。

しかし、教養高いニューヨーク・タイムス紙は、日本には別のムーブメントが起きている事をちゃんと見抜いている。アメリカの独立記念日7月4日のスポーツ版の一面では、「砂漠に予期せぬ花。阪神タイガース好調」として、阪神タイガースを1918年以来ワールドシリーズでの優勝が無いレッドソックスや、1908年以来優勝が無いカブスに例えて詳しく説明している。

ファンが阪神タイガースに熱狂するのは、タイガースがレッドソックスやカブスと同様の「アイデンティティ・クライシス」に陥っていたせいだと分析する。 大阪は第ニ次世界大戦以降、政府やメディア、ビジネスエリートが集中する東京の影となってきた。現在多くのメーカーが工場を中国に移転させる中、失業率は日本でも最高水準となっている。それゆえに大阪の人々は、「東京のチームとそのホワイトカラーのファン」に勝利する事に、何よりも満足するのだと。 大阪の人を「blue-collar roots and hard knocks(打ちのめされたブルーカラー出身の人たち)」と決め付けたり、日本ではまずお目にかかれない表現もあるが、記事は概ね好意的だ。

先月(6月17日付)のインターナショナル版では、カナダのプリンスエドワード島を訪れる日本人女性たちが特集された。ここは、日本ではロングセラーとなっている小説「赤毛のアン」の舞台で、「結婚式を挙げたい」「死ぬまでに訪れてみたい」と夢見て、「ガールズばかりでなく、スモウレスラーまで」やって来るというのだ。

「アンから自由について学んだの」と日本人女性は語るが、受け入れる側のカナダ人は、彼らからすればやや古い価値観に日本人が魅了される事に困惑気味だという。
「体重150キロ以上もあるスモウレスラーが、ここで結婚式をするのが夢だった、と言った時には、びっくり仰天(dumbfounded)したよ」と赤毛のアン博物館の館長は語っている。

以前もディズニーワールドで結婚式を挙げ、新郎よりミッキーマウスと夢中で踊る日本人花嫁を皮肉な口調で取り上げるなど、タイムスは日本女性の趣味にはやや懐疑的なようだ。

written by 篠田なぎさ(⇒ プロフィール



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