クルーズ大好き! だからたまにしか行かれないクルーズ旅行はとことん楽しみたい! プライド・オブ・アメリカで行ったハワイクルーズの旅行記です。



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7日目 カウアイ島ナウィリウィリでジャズ付きブランチ

前日からカウアイ島のナウィリウィリに停泊していた船は、午後2時に出発する。その後カウアイ島の沿岸をぐるりと半周して、この島ならではの切り立った崖と原生林を船から眺める。

ニューヨーク仕込みのシェフのフレンチレストラン

ナウィリウィリ停泊2日目はどこにも出かけず、昼前から着物を着る。今日は船内のフレンチレストランJefferson's Bistroの、ジャズライブ付のブランチを予約してあるのだ。

ジェファーソンズ・ビストロは、最初のレストランツアーで鳴り物入りで紹介された。「シェフはニューヨークの有名レストランにもいた」ってことで。

シェフはカリブ人で、その人がニューヨーク仕込みのフレンチを作るとは、いかにもアメリカらしくて面白いんだけど、どんな料理が出てくるかはなんとなく想像がつく。

このレストランでは、毎週金曜日にジャズライブ付きのブランチをやるので、そこに行ってみることにした。

ジャズライブを目の前で堪能!

ジャズは元々大好きだし、ライブをしてくれるバンドの演奏も何晩も聞いて、時には踊って、彼らの演奏がなかなかいいってこともわかっていた。

昼なので着物は綿麻の小千谷に半幅帯を簡単に締めた。レストランに行くと席はバンドから遠い壁際とバンドのまん前だけが空いている。最初は壁際に通されたんだけど、頼んでバンドのまん前にテーブルを変えてもらう。


近すぎる気もしたけど、バンドの人たちは私たちに会うたびに手を振ってくれるくらいよく演奏を聴いているし、最後に思い切り近くで聴くのもいいんじゃないかなあと思って。

ワインのグラス越しに見るジャズバンドの演奏は、とっても贅沢だった。ニューヨークでもこんな経験したことないよ、とうっとりした。

ブランチに食べたのは、チキン・サラダ、アスパラガスのロースト・ビーフ巻き、サーモンのマリネ、フレンチ・トースト、エッグ・ベネディクト、アスパラガスのポタージュなどなど。


ニューヨークでいつも食べていた週末のシャンパンプランチを懐かしく思い出した。エッグベネディクトなんて、別に何て言うことのない料理だけど、久しぶりに食べたし、バンド演奏付きの雰囲気は最高だし、とっても美味しく感じられた。

ワインはBeaujolais-Villages, Louis Jadotというブルゴーニュの赤。2007年。味わいが薄くて、昼にはちょうどよかった。ディナーだったら、きっと閉口しただろうけど。

この船一番の大物ミュージシャン トビー・ボー

この船にはミュージシャンは、このジャズカルテットと毎晩バーでピアノの弾き語りをするテイラーとハワイアンバンドのほかに、「イーグルスのメンバーに、もうちょっとのところでなれた」「あのヒットチャート一位のマイ・エンジェル・ベイビーの」トビー・ボーという人も奥さんと乗っていた。


トビー・ボーの今(右)と昔(左) 日本でもレコード出してるんだね

このトビー・ボーがたくさん居るミュージシャンの中でも破格の扱いなのだ。他のミュージシャンは場所を変え時間を変え、色々な所で演奏するのに、この人たちは航海中2回ほどシアターに出てくるだけ。

まあ確かにレコードも出していて、それがバーブラ・ストライザンドを二位にして一位を取ったてんだから、すごいはすごいけどね。

クルーズのお客に向かって「僕の一位になった曲、マイ・エンジェル・ベイビー知ってる人〜」と呼びかけたり(ぱらぱらと手が挙がっていたよ)、イーグルスがホテルカリフォルニアで大ブレイクする前のギタリスト募集で「候補になったんだよー」と延々と語ったりするのはなんだか悲しかったけどね。

奥さんと二人のステージで、3か月この船に乗っているらしいからラクチンで楽しい仕事でいいよね、とは思うけど。ホテルカリフォルニア、弾いて歌ってくれたけど、ヘタクソだったよ。ちゃんと使用許諾は取ってるんだろうけどね。よく許可したよね、イーグルス。

ジュラシックパークのロケ地を船から眺める

昼過ぎに出港した船は、下船地ホノルルに向かう前にカウアイ島の沿岸をぐるりと半周する。ジュラシックパークやインディー・ジョーンズのロケもしたという、延々と続く切り立った崖と原生林の横を通るのだ。陸路でそこまで行くにはとっても大変だろうけど、船から見るならラクチンで迫力満点だ。

急に天気が悪くなってきれいに写真が取れなかったのは残念だけど、テラスに出ずっぱりで景色を眺めるには日に焼けなくてよかった。

ハワイ諸島は偏西風の関係で、島の片側は乾燥し、逆側は雨ばかりなんだそうだ。天気はすごく変わりやすいし、雨が多いから植物が外来種も含めてよく茂る。飛び飛びにある島は、東から西に行くほど古くなって、だから一番西のカウアイ島は古くて浸食も激しい。

のんびりとクルーズしながらも、そんなことをも聞いたり読んだりするのは面白かった。特に池澤夏樹氏のハワイイ紀行は、島を巡りながら次に行く島について読むには最適だったよ。


カウアイ島を離れると雲が切れて、夕日がきれいに見えた。ハワイクルーズ最後の夕日を惜しみつつ、夕食の前にダンスホールでやっているフラダンスショーに行く。

フラダンスショーでハワイの歴史や文化を学ぶ

バンドはさっきのジャズカルテットとプールサイドでいつも演奏していたハワイアンコンビ(ギター+ボーカルとキーボード)だ。トビー・ボー夫妻は一週間のクルーズでたった2回のステージなのに、ほかのミュージシャンは昼過ぎから夜中までプールサイドでもバーでも、色々なステージでよく働いていたよ。

最後の夜のショーは、フラの歴史や文化を説明しながら、二人のフラダンサーがそれぞれの出身地流のフラダンスで踊ってくれたりして、とても興味深かった。最後は客が立ち上がって手をつないで身体を左右に揺らしながら「アロハオエ」を合唱するという、なかなか感動的なフィナーレ。

池澤夏樹氏のハワイイ紀行によれば、「アロハオエ」という曲は、米軍がクーデターを起こしてハワイ共和国(米国ハワイ州になる前)を作ったときの最後のハワイ王国の女王が、米国本土に幽閉されているときに故郷を偲んで作ったそうで。

私はこの曲が日本の音楽の教科書に載っていたから知っていたんだけど、日本の音楽の教科書には、ハワイのレジスタンスソングが載っているのに、何で長唄は無いのかなあと逆に思ったよ。

ハワイに旅行に来て「アロハオエ」を一緒に歌えるのもいいけど(意味は知らなかったけど)、その後に長唄か端唄をちょこっと口ずさめたりしたら、もっとかっこいいのにね。日本人。

だからというわけではないけれど、私は近所のカルチャースクールで三味線を習っている。いつか、外国旅行で、着物で前にお皿置いて三味線弾くんだ、というのが当面の目標だ。

最後のディナーはやっぱりリバティで

クルーズ最後の夕食は、やっぱりメインダイニングのリバティに行ってしまった。

  • 1階下のレストランのスカイラインの方が、サービススタッフが気が利く印象
  • リバティの歴代大統領の絵や彫刻が飾ってあるアメリカ万歳チックな内装より、住んでいたニューヨークや数回行ったシカゴを思い出させる摩天楼を模したスカイラインの内装が好み
  • スカイラインもリバティもメニューの内容も味も一緒

それなのに、リバティにはドレスコードがあるというそれだけの理由でリバティを選ぶ。最後の夜だからと、せっかくお気に入りのぜんまい紬を着たからね。


最後の夜に食べたのは「ほうれん草とたまねぎのパイ」「椎茸のリゾット」「8オンスのサーロイン・ステーキ(今日はミディアム)」「ポレンタのパンケーキ、トマトソース」。懐かしさゆえか意外においしかったアメリカ料理もこれでおしまい。

さよならテイラー、あなたの方がずっと上手だったよ

食後はやっぱりバーに行って、テイラーのピアノ弾き語りを少し覗く。12時までに荷物のパッキングをして廊下に出しておかなくてはならないけれど、最後の夜だと思うと名残は惜しいし、どうしてもぐずぐずしてしまう。


ちょっと早めに引き上げたけど、バーには残っている人たちがまだまだたくさん居た。パッキングを済ませて出てきているのかな。それとも荷物は自分で持って下船するのかな、まさかね。

それでは、Have a good night! テイラーは、この船であと何周ハワイクルーズをするのか聞かなかったけど、ゴキゲンなアメリカスタンダードジャズを毎晩どうもありがとう。

お客さんたちのいろんなリクエストにいつもきちんとこたえて、なんでも弾くのに感心したよ。難しい曲の時には右手でパラパラピアノを弾きながら、足元においてある大きなかばんに詰まった楽譜集から必死に探して、「これだー」という感じで出して弾くのがよかった。

GがI Loves You Porgyをリクエストした時は、それはデュエットの曲じゃないかーと言いながら、男声と女声とで歌い分けてくれてけっこう笑った。Gはビリー・ホリデイ版のつもりで頼んだらしいんだけどね。



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