アメリカで食う見る遊ぶ

コリアンタウンの饅頭バー

「まずは、コリアンタウンから行きましょう」
前の会社の同僚だったWちゃんに連絡を取ると、そんな言葉が返ってきた。Wちゃんは私より一足早く、今年の春にだんな様の転勤でやって来たNY生活の先輩だ。
「コリアンタウンはチャイナタウンより近いし、街も道もわかりやすいからね。日本食スーパーと同じものが安い値段で買えるのよー。」
地図首っ引きで、やっと街歩きをしている今の私の状態がよくわかるのだろう。情報誌の編集者だったこともあるWちゃんが、自分で探して納得した店に案内してくれるというのだから、本当に心強い。

やってきたのは33丁目駅。この辺の一帯にある料理屋、喫茶店、本屋、電器屋、ビデオ屋、カラオケ屋の看板はどれも殆どハングル文字だ。カラオケ屋さんの店頭には、おそろいの韓国サッカーチームのユニフォームを着て、応援している人たちの写真が飾ってある。あの時は、さぞかし盛り上がったんだろうなあ。応援、楽しかったろうなあ。私は、日本でもワールドカップがいかに盛り上がったかWちゃんに説明する。「いつも忙がしがっている会社のみんなが、ほとんど仕事してなかったんだよー」なんて。

Mandoo Barは23th bet 5th & Broadwayにあります。
「あそこが、この通りで見つけた一番のヒットのお店かな」
Wちゃんが指差す先には、ガラス張りのショーウインドーがあった。中で職人さんたちがせっせと働いている。
「Mandoo Barって言うの」
「饅頭バー…?」
ネーミングの面白さに、思わず笑ってしまった。基本は韓国料理のようだけど、ギョーザも、シューマイも、小龍包も、包みモノなら何でもあるという。ギョーザライス+ビールが大好きな私は、大喜びだ。
お店は白木のテーブルとイスのシンプルな内装で、清潔でおシャレな感じだ。お客さんはアジア系が7割くらいとアジア比率がちょっと低い。日本人は私たちだけのようだった。

野菜とポークとエビの小饅頭の盛り合わせセットを二人で食べることにし、他にWちゃんは冷麺、私は野菜炒飯を取った。小饅頭はモチモチの厚めの皮で具をくるんで蒸してある、今まで食べたことがない種類のものだった。大き目のラビオリみたいな形で、中の具によって皮の色が違う。トウガラシは入っていなかったけど、新しい韓国料理なんだろうか? たっぷり詰まった具がおいしくって、Wちゃんの分までパクパク食べてしまった。冷麺は真っ赤ですごく辛そうだったけど、野菜炒飯は軽いしょう油味のあっさりした味付けで、こちらもおいしかった。 私はトウガラシが苦手なんだけど、この店ならお皿を選べば大丈夫。実はこの後も別の日にひとりで行って、ギョーザライスを食べた。小饅頭と同じモチモチの皮のギョーザを一皿食べたら、お腹がいっぱいになった。

お店に入ると、店員さんが最初韓国語で話し掛けてくるのが、何だか嬉し恥ずかしい。日本食スーパーのレジでは、英語で金額を言われちゃうのに何でなんだろう。
このコリアンタウンで扱っている品物は、韓国のモノに加えて日本のモノも負けないくらい多くて買い物も便利だ。アメリカにいると、日本と韓国って近いんだなということがよくわかる気がする。

written by 篠田なぎさ(⇒ プロフィール



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