クルーズ大好き! だからたまにしか行かれないクルーズ旅行はとことん楽しみたい。 セレブリティ・インフィニティで行ったアラスカクルーズの旅行記です。


5日目 人口900人の町スキャグウエイ

船は朝の7時から夕方6時までスキャグウエイに停泊、その後氷河で削られた山岸が両側から迫る、インサイド・パッセージを通る。

クルーズ景気に沸く、ゴールドラッシュ時代の町

スキャグウエイというゴールドラッシュ時代に栄えた町にやってきた。長らくさびれていたそうだけれど、クルーズ船の寄港地となって町は大きく変わったようだ。もう町のすべてがクルーズ船から降りてくる観光客のためにあるように見えた。

なんとブロードウェイという名前のメインストリートは、西部開拓時代の街並みをきれいに再現している。それがいかにもアメリカ人好みだ。

そして、廃線になっていた高山鉄道を復活させて、船の真ん前からクルーズ客を乗せられるように、駅を作り足してある。

びっくり。高山鉄道のチケットは120ドル!

船から降りる前は、周りにクルーズ船が4隻も停泊しているし、町の人口はたったの900人だというし、町に1万人以上のクルーズ客があふれてさばき切れないんじゃないかと思ったんだけどね。

観光客はぞろぞろと高山鉄道に乗り込み、ぞろぞろとブロードウエイを歩き、鉄道組も徒歩組もそこらへんを往復して船に帰ってくる。

それだけ。

アラスカの他の町と同じく、町の通りは土産物屋と宝石屋だらけだった

ゴールドラッシュ時代のバーの再現してマネキンを置いてある展示場や、雪や氷を吹き飛ばしながら進んだ機関車の展示が、申し訳程度にあった。

そして、高山鉄道は船で買っても港で買ってもチケットは1枚120ドルもする!

さびれた地方都市の活性化に協力するのは

にわか作りに見える大して面白味もない町なんだけどね、私はいたく感心した。アメリカ人たちはこういう「さびれていた地方の活性化」にちゃんと貢献するのだ。

町のメインストリートは、まるで映画のセットのようで、お土産物屋はどこも人でいっぱい。宝石屋だっていつ見てもお客が入っている。店には「地元の住民のお店です」といった張り紙がしてあって、いかにも「旅行者の皆さん、地元にお金を落としてね」と言いたげだ。

「そういう店は、夏はアラスカ、冬はカリブ海と、クルーズ船の寄港地を巡って商売するのよ」と言っている人もいたけどね。それでも大いにけっこうなことなのではないだろうか。さびれていた港町にとっても、クルーズ船業者にとっても。

日本の地方の港町もこうやって活性化したらいいのにと思う。私は日本の地方の飲食店のサービスが「煙い、狭い、気が利かない」ので大嫌いだ。だから日本の国内旅行はなるべくしたくないのだけど、クルーズ船誘致で町を活性化するのなら、いいのではないだろうか。

だってクルーズ船の客って、船で食事するだけでほとんど地元のレストランに行かないしね。日本の店はなぜこんなに煙いと文句を言われることも無い。

運よく入れたガーデンレストランでカニを食す

そんなスキャグウエイでもGを連れて町を歩くとなると、旅先の地元料理を食べたいと、よさそうなレストランを探すことになる。レストランはほんの数軒しか無いようだったけど、運よくブロードウエイの先の方にある「オリビアズ・ビストロ」の庭の隅のテーブルに座ることができた。

レストランの中庭にはハーブや花がたくさん植わっていた。時々シェフが出てきて、切り取ってキッチンに持って行ったりして。なるほど「地元の生活」ってこんな感じかな。

アラスカなのになぜかメキシコ料理屋だったその店で、アラスカン・キング・クラブ(時価)とブリトーとエンチラーダを注文。アラスカビールをごくごく飲む。

アラスカの蟹の脚は1パウンド40ドルと結構なお値段だったけど、ひと皿の量もぽっちりだったけど、ホクホクと美味しくてペロリと食べてしまった。日本の港町で魚介類をこんなふうにして食べたら美味しいだろうなあ。

インサイド・パッセージもジムの先端で

午後6時の出港の後は、氷河で削られた山岸が両側から迫るインサイド・パッセージを通る。船から見る夕暮れの景色がきれいだと聞いたので、またジムの先端に行く。

途中デッキを通ったけど、氷山が迫ってきた時には人が鈴なりだったのに、このときはまばらだった。そろそろ夕食の時間だし、みなさん景色より食い気かな?

さすがに景色はとてもきれいだった。海に落ち込むフィヨルドの絶壁の向こうに、雪をたたえた山並みが連なっている。そうか、アラスカクルーズでは、海上に居ながら山の景色も楽しむことができるのねと、ひとり納得したりして。

窓を開けないクルーズ旅行ではマスクを忘れずに

さーて、いつものBluでのディナーの時間だ。部屋の乾燥のせいでノドが痛み、ちょっとからだが弱っていたので、私は万が一のために持ってきた地味な木綿を着こむ。

どこか冷えたり血の巡りが悪いように感じる時には、着物を着るのが一番だ。木綿はふんわりしっかりと体を包んでくれて、温かくて着心地がよかった。

窓が開けられないくらい寒い所をクルーズするときは、部屋の乾燥対策が重要だと、今回のクルーズで身に染みた。寝る時にのどや鼻がつらくて、マスクをして寝たらどんなに楽かとどれだけ思ったことか。

アメリカの船なのに、がっつりステーキが無い

ディナーで注文したのは、野菜の生春巻、鱒とアボガドとグレープフルーツのサラダ、鴨のコンフィのラビオリ、NYストリップステーキ。デザートはチーズケーキテンプラとフルーツコンポート。

アメリカ料理ならばビーフ・ステーキだといつも楽しみにしているGは、このステーキは肉が薄すぎて期待外れだったそうだ。

このレストランBluのコンセプトは地中海風であり、クリーン・キュイジーヌなんだそうだ。クリーンが何のことを言っているかはわからないけど、少なくともテキサス風のがっつりステーキがどかんと出てくる感じではなさそうだ。

私が見たところお肉はじゅうぶん大きいと思ったけれど、チーズケーキを揚げた「テンプラ・チーズケーキ」は、あまりにアンヘルシーだし、クリーン・キュイジーヌにも見えなかったなあ。

音楽やダンスは毎晩メニューが豊富

ディナーの後はコンスタレーション・ラウンジに行って、アカペラコーラスを楽しんだり、シンガー&ダンサーの踊りと歌を楽しんだり。シアターは今日はマジックショーなので、シンガーとダンサーはこっちの狭いステージに来ているのだ。

15人が激しく歌って踊るので、ダンサーがお互いにぶつからないか心配になるくらいで楽しめた。最後はまたお客もいっしょに踊ったりして、セレブリティのエンターテイメントナイトを今夜もまた満喫した。



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