2004年10月4日 持田直武
ブッシュ大統領がケリー候補との政策討論会で敗れた。イラクは「大統領の途方もない失策」と追及したケリーに軍配が上がった。ニューズウイーク詩の支持率調査では、ケリー47対ブッシュ45、1ヶ月ぶりにケリーが優位に立った。ネガティブ・キャンペーンでイラクの現実を隠すブッシュ戦略にほころびが出たのだ。次の討論会は8日、ブッシュのもう1つの弱点、雇用を含む経済問題がテーマとなる。 ・ブッシュ、有権者の納得する答え示せず
9月30日(木)の政策討論会の視聴者は全米で6,250万人、子供も含めた米国人の4.4人に1人が見たことになる。前回、4年前のブッシュ対ゴアの討論会は、視聴者4,700万人、今回はこれを33%も上回った。米国民が今回の選挙に対して極めて高い関心を示していることがわかる。ワシントン・ポストが討論会の前、23−26日に実施した世論調査によれば、米国の有権者が投票にあたって最も重視するのは次のような問題だという。
30日の討論会は、このうちテロとイラク問題を取り上げた。イラクからは、戦闘のニュースが途切れることなく伝わり、米兵の死者は1,000人を越え、なお増え続ける。国内でも、テロの警報が途切れたことがなく、緊張状態が日常化している。有権者が投票にあたって、両候補者の主張に耳を傾けるのは当然である。だが、ブッシュ大統領はこの有権者に対して適切な答えを示すことができなかった。ケリー候補が「イラクは大統領の途方もない失策」と批判したのに対し、有権者が納得するような反論ができなかったのだ。 ・ネガティブ・キャンペーン戦略にひび割れ
上記ワシントン・ポストの調査によれば、ブッシュ大統領のイラク政策に対する支持は47%、不支持50%。米有権者の大半は同大統領のイラク政策を支持していない。しかし、テロ戦争については支持59%、不支持38%で、この面では圧倒的な支持がある。ブッシュ陣営は、このテロ戦争への高い支持率を利用して、イラクの失敗をカバーする、いわゆるカード・スタッキング(いかさま)をして、これまでイラクの現実から有権者の目を逸らしてきた。 ・次のテーマ、雇用、経済が鍵
ニューズ・ウイーク誌は10月3日、政策討論会後初めての支持率調査の結果を発表した。それによれば、ケリー47%、ブッシュ45%、ネーダー2%である。調査は討論会の終わった30日夜から10月2日にかけて登録済み有権者1,013人を対象に実施した。同誌が実施した9月11日の前回調査では、ブッシュ49%、ケリー43%、ネーダー2%だった。9月の共和党大会以後、ブッシュ大統領がケリー候補をリードする情勢が続き、このようにケリー候補リードの調査結果が出るのは初めてだ。 掲載、引用の場合は持田直武までご連絡下さい。 持田直武 国際ニュース分析・メインページへ |
Copyright (C) 2004 Naotake MOCHIDA, All rights reserved.