2012年1月15日 持田直武
共和党の大統領候補指名争いはロムニー候補が指名獲得に王手をかけた。保守派候補が潰し合いを演じる一方で、穏健派の同候補がアイオワ州の党員集会に続いてニューハンプシャー州の予備選挙でも勝利。次のサウスカロライナ州予備選挙で勝てば、指名争いは事実上終わりとの見方も出ている。党内保守派はまだ同派から対抗馬を立てる動きを続けているが、候補者難は否めない。 ・ロムニー候補が党候補指名に王手
共和党の大統領候補指名争いはマサチューセッツ州元知事のロムニー候補が序盤戦で連勝、指名獲得に王手をかけた。得票率も1月3日のアイオワ州党員集会では25%だったが、10日のニューハンプシャー州予備選挙では39%に一気に上昇した。同候補は昨年末まで世論調査で支持率25%を超えたことがほとんどなく4分の1候補などと揶揄された。ところが、予備選挙に入って一気に4分の1の壁を突破したことで、今後の展開に弾みが付くとの期待が出た。 ・ティー・パーティ運動にもロムニー支持が浸透
穏健派のロムニー候補が有利となった背景には支持が保守層にも拡大したことが挙げられる。ワシントン・ポスト紙がニューハンプシャー州予備選挙の際に実施した出口調査によれば、同予備選挙で投票した有権者の内訳は「強固な保守派」が21%、「穏健保守派」が32%、「穏健リベラル派」が47%。この3派のうち、ロムニー候補に投票したのは「強固な保守派」の33%、「穏健保守派」の48%、「穏健リベラル派」の38%だった。ロムニー候補の支持者はこれまで「穏健派」の枠内に止まっていると言われてきたが、ニューハンプシャー州予備選挙の結果は、支持が「穏健派」だけでなく、他の2派にも幅広く浸透していることを示した。 ・共和党保守派指導層は「ロムニー阻止」に立ち上がる
この事態を見て、共和党保守派指導層が困惑を深めている。ロムニー候補がかつて人工妊娠中絶や同性結婚を容認するなど、保守派の政治信条と相容れない主張をした経歴があるためだ。同候補は03年から07年までマサチューセッツ州知事をしたあと08年の大統領選挙に立候補。この時の候補者討論会で「私はマサチューセッツ州知事として『女性の選択の権利』を守るため全力を尽くした」と知事時代に妊娠中絶を支持したことを自賛した。女性の選択の権利とは女性が子供を産むか、産まないかを決める権利を持つとする主張である。その後、同候補は中絶反対の方針に転換するが、保守派指導層は疑っている。 掲載、引用の場合はこちらからご連絡下さい。 持田直武 国際ニュース分析・メインページへ |
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